| 洛タイ投書箱 |
| 「平和への思いに共感の輪」の記事に寄せて | ||
|
|
◆…6月1日付本紙が、「ベトナムの枯葉剤被害者と交流――立命館宇治中・高生 平和への思いに共感の輪」という見出しで、書道体験する被害者少年・少女と見つめる立宇治生の写真を添えて、大きく報道。うれしいことでした。 ◆…5月26日、京大会館でのシンポジウムを聴いて、アメリカ軍が「エイジェント・オレンジ」と名づけたこの化学兵器が及ぼした惨状のひどさに改めて絶句したのでしたが、アメリカの侵略戦争を糾弾し、抵抗するヴェトナム人民を支援する運動に参加したとはいえ、アメリカの爆撃機や戦闘機が沖縄の基地から悪魔的所業に飛び立つのを阻止できなかった悔しさとヴェトナム人民にたいする申し訳なさをも痛感したのでした。 ◆…ヴェトナム戦争は、ケネディー大統領がサイゴン政権に軍事援助と顧問団派遣を決めた1961年に始まり、1973年3月29日のニクソン大統領の戦争終結宣言とアメリカ軍の完全撤退を経て、最終的にはサイゴン政権の無条件降伏で1975年4月30日に終わったのでした。 ◆…この14年余り続いた戦争で、アメリカは最大規模54万人の兵力を投入、755万トンの爆弾(第二次世界大戦中の爆弾投下総量の2・73倍)を投下。ヴェトナム人民軍と南ヴェトナム解放民族戦線の死傷者227万人、民間人死傷者440万人、南ヴェトナム政府軍死傷者59万9000人、アメリカ軍死傷者36万人【imidas1992】。強欲とウソ吐き通した「ならず者」の荒れ狂った暴力の、何と言うおぞましさ。 ◆…「枯葉剤」の影響調査は、1983年1月、初めて国際的な問題になったのです。「枯葉剤の影響に関する国際シンポジウム」が「ヴェトナムにおけるアメリカの化学戦争の長期的影響調査委員会」の主催で、全世界21ヵ国の科学者を招いて開かれました。ヴェトナム側の調査では、61年から10年間に約7200万リットルの撒布があり、カマウ半島の4万4000ヘクタールのマングローブ林が消滅。人間の被害については調査中【現代用語の基礎知識1984】ということでした。(「枯葉剤」は「imidas1992、2007」「知恵蔵2004」の項目にありません。「広辞苑第5版」に「除草剤の1種。アメリカ軍がベトナム戦争で化学兵器として使用したダイオキシンを含むものは、特に毒性が強く、撒布地域に癌・先天性異常・流産・死産などが多発」とあるのが救いです) ◆…日本政府は一貫してアメリカのこの残忍な戦争を支持したのです。イラクに対するアメリカの先制戦争と占領も支持しているのです。アメリカの戦争中毒に日本政府も感染しているのです。自衛隊を「非戦闘地域」に派遣するにとどまらず、戦闘できる国にしようと、憲法9条を殺しにかかっているのですね。「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し」た日本国民として、すべての戦争被害者の方々に謝罪します。ヴェトナム戦争で日本の高度経済成長がもたらされたという事実も忘れてはならないのですね。 ◆…62年前に終わった日本の戦争はもちろん、32年前に終わったヴェトナム戦争も「枯葉作戦」も、忘れられたり、なんの知識もないというのでは、あまりにもノウテンキで平和ボケです。「ベトナムの枯葉剤被害者」「『枯葉作戦』による後遺的被害」「ベトナムの戦争被害」「戦争のせいで障害を受けた」などと、この記事に書かれていますが、誰が始めた戦争で、誰が行った作戦、誰が撒布した枯葉剤、というのが書かれていないのが残念です。冒頭の「ベトナム戦争に使用した枯葉剤」も、この行為主体がアメリカであることは記者の常識であっても、読者はそのうちに正確な認識を失っていくかもしれないのです。少年少女たちは、国境や民族の違いを超えて人間らしい知性と感性と想像力で事実を洞察し未来を創造していくだろうと、期待と希望が膨らむ爽やかな記事に、1つだけ不満を述べさせていただきました。(宇治市・須田稔) |
| ▼投書のインデックスへ |
| copyright©洛南タイムス 京都府宇治市宇治壱番26 TEL0774−22−4109 FAX0774-20-1417 ※このサイトに掲載される記事や写真、その他のデータの著作権は洛南タイムス社またはその情報提供者に属します。無断転載を禁止します。 |