検証 六地蔵ものがたり E
立場難しい行政、どう関与
府宇治地方振興局

法に基づく範疇であれば指導助言も





 北の玄関口、JR六地蔵、京阪六地蔵駅があり、京都市営地下鉄も延伸してくる六地蔵地域は陸路でも交通の要衝であり、さまざまな可能性も持つ。今となってはどうだったのか裏づけ調査も難しいが、地域にあったある飲食店は立ち退きに際し、3・3平方bあたりの値段は京都市内中心部をも上回ったという。それだけ六地蔵に魅力があったのか、魅力に惑わされたのか。裏切り、背信、対立、宇治ショップセンターの火災事件も未解決だが、一連の動きと関係があるという指摘もある。そんな中で第三者の立場・行政はどうだったのか、これからはどうなのか…。

 宇治ショップセンター協同組合はその名の通り、中小企業協同組合法の適用を受ける組合。直接的にはもちろん、組合理事・役員、組合員が運営管理にあたるが、年度末には京都府に対しても総会議事録と決算書の提出が義務付けられており、京都府は指導監督の立場にもある。

 同センターが放火とみられる火災事件で全焼後、当事者の組合関係者はもちろん、宇治市、宇治商工会議所、そして京都府も法の限界がある中で創意工夫を凝らし、異例の早さで仮店舗での再建にこぎつけた。

 ところが、その後の内紛、対立が続き、一部理事は役員という立場にありながらも本紙の取材から逃れようと躍起になり、「理事を辞任したい」という本音をぽろり――ということもあった。当然、混乱を収める気持ちも余裕もなく、京都府への総会議事録提出、決算書提出もできない事態に陥った。

 指導・監督する立場にある京都府は当然、議事録・決算書の提出を求めてきたが、なしのつぶて。窓口となっている府宇治地方振興局商工課も実のところ、対応に困っていた。一時期は、連絡が取れなかったり、責任能力に疑問を感じたこともあったようだ。

 現在の商工課長・辻一幸さんは火災時からすると5人目。ことし6月に異動してきたばかりで事務引継ぎはもちろんしているものの事情に詳しいはずもないが、事情を知っていたとしても混乱時に仲介役を果たすのはおそらくはできなかった。「組合員さん、理事役員のみなさんの大変さは良くわかる。気持ちは理解ができますが、行政としてはやはり中小企業協同組合法に則り、手続きをお願いしなければならない。法令に基づき、定款に従い、決算書の提出をお願いするという基本的なスタンスに変わりはない。ただ、民間のいさかいの間には正直言って入れない」と苦しい胸のうちを説明する。「水臭いといわれるかもしれませんが…」と。

 昨年秋には新しい執行部役員たち3人が振興局窓口を訪れ、ことし6月にも来庁。宇治ショップセンター協同組合をめぐる裁判の結果、組合員の現状と執行部役員の憂慮している中身などについて辻課長が応対したが、「いろいろ大変だったことは承知しているが、行政という立場を説明し、手続きを求めた」という。まだ、手続きは終えていないが。

 確かに火中の栗を拾うような真似は行政でなくても難しい。ましてや問題は著名な弁護士たちが依頼を受けて入っているし、燃え盛る炎が落ち着くのを待つしかない。

 静観して、ようやく解決のきっかけらしきものはいくつか見え始めており、行政としても逆に法に則り業務しなければならないということは言い換えれば法の範疇であれば民間であれ、指導・助言できるということになり、「その通り。中小企業組合法に基づく範疇であれば指導も助言もできるし、またしなければならない立場」ということを強調した。できないではなく「できる」。知恵や力を借りる、できなければできる能力を持った人々に協力を求める。金ではなく、心で動いてもらえることも、動いてもらえる人もいる。誠意を持って汗を流していればタオルを貸してくれる人があることを信じたい。きっと、行政も同じだろう。(つづく)
【川田一公】
 

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